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オール電化の暮らしが必要なのは電力会社の方だった

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電力会社がオール電化住宅を進めているのは

 オール電化住宅とは、エネルギーの総てを電気で賄っている「暮らし」のことです。厨房、給湯、暖房など熱を必要とするものの一切を、ガスから電気に切り替えてしまおうという訳です。ガス会社が担当している分野のエネルギーまでも電気に統一するということで、消費者にとってはエネルギーコストが下がるのであれば諸手を挙げて歓迎したいところでしょう。

 実際のところ、オール電化とは一体何を意味していることなのでしょうか・・・

 電力会社の一部ではかねてから、標準消費電圧を100ボルトから200または400ボルトにしたいという意向をもっていました。電圧の高い方が送電ロスを少なくできるし、お湯なども2倍から四倍も早く沸かせるようになるからです。熱効率が高いこと、直火を使わなくなって火事にならないこと、などの効果を見込めることがオール電化を奨める表向きの理由となっています。電信柱にきている配電線は6600ボルト(60ヘルツの地域では7700ボルト)が確保されているので、100ボルトがたとえ4倍になったとしても供給する電気には何の支障もありません。容量不足が見込まれることがあるにしても、それはトランスを増設すれば足りることです。オール電化には技術的な課題は既になく、単に実施すればよいだけのことでした。

 では、何故、今、唐突にオール電化住宅を推進しようとし始めたのでしょうか?

 来年(2005年)二月に、家庭用の燃料電池がガス会社から登場することになっています。この燃料電池の出力は、概ね1kwh程度の小さなモデルだとされています。一般の住宅では通常3kwhの最大電力を必要としています。毎時最大30アンペア(100VAC)の電流が供給される状態が保たれていれば、日常生活で不自由することは何もありません。単純に考えるとその三分の一、つまり10アンペアの電流が燃料電池から得られるようになるということなのですが、実際は、電力会社にとって極めて大きな損失の原因になりかねないのです。

 というのは、電気の使われ方にバラつきのあることが問題となっているからです。住宅を単位としてみると、3kwhの電力を100%使った場合、月間では合計2160kwhという数字になります(3kwhx24hx30d)。3kwというのは最大値で、いわば供給可能な最大瞬間風速のようなものですから、常時そのレベルの電力を消費しなければならないということではありません。電気を必要としているその実態はどうなっているかというと、均すとせいぜい一日9時間(NET)、それも2kwh程度のレベルになるだろうと見込まれます。計算してみると2kwhx9hx30d=540kwhということになりました。電力会社からの請求書を見て頂ければ、実態とどれ位離れているかを判断できるのではないでしょうか。(数値は季節によって変動するので、夏または冬でしたら3kwx9hx30dとすればよいでしょう)

 電力会社の指標には「需要率」という項目があります。設備に対する発電量の割合を示したものです。発電量と需要量、販売量などは当然ながら同じでものではありません。需要は常に発電量を下回っています。販売量は需要全体からみた実際の消費に該当する部分のことです。発電事業者が保有している設備は、概ね年負荷率の分母となった最大発電電力量の二割増し程度のレベルにあることが分かっています。設備に対する「需要率」という項目では、年負荷率よりも更に低い値とならざるを得ません。おそらく40%台の前半というレベルになっているのではないでしょうか。需要率とはいうものの、その実態は設備容量に対する発電電力供給率とでもいうべきものになっています。1999年度のデータをみると、発電量と需要量との間には、最低でも22%に上る誤差がでていたのでした。販売量ではロスの成分が排除されるため、最も低い数字になるはずです。(販売量に関するデータが公開されていないため、実際の損失がみえなくなっています)

 発電量ではなく設備保有量の方を分母としてみると、負荷率では56%だったものが40%台を更に下回る可能性がでてきます。実際の需要となる消費に使われた電力が一体どれ位あったのか、電力会社の資料からは覗うことができません。実需に関するデータが一般に公表されたことはこれまで一度もないのです。発電量と送電過程での損失率は分かっています。変電過程での損失も無視することはできませんが、消費されなかった電力がどれくらいあったのかが分からなければ、需要に結びついていた電力量を正しく知ることはできません。追加調査したところ、総ての電力会社が加盟する電気事業連合会に資料が用意されていることがわかりました。需要量に関する総計とその分布割合を示すグラフです。上記リンク・下記リンク先にあるのがそのデータです。販売量ではなく総需要となっている点に留意する必要があります。

 1999年の総計を照合すると、総ての発電電力量では一兆五百億kwh台であったとするOECDの報告がある一方、電気事業連合会の資料による販売電力量は八千百億kwh台となっていました。送・変電ロスを仮に10%と措くと、一千五十億kwhとなり差し引き九千四百五十億kwhが有効発電電力量だったと推測することができます。これから電力十社の販売合計である八千百億kwhを差し引くと、一千三百五十億kwhという説明することのできない数字がでてくるのです。

 これほどの膨大な電力が送電系統を維持するためだけに放電されている、という疑いを晴らすに足る説明はどこにもありませんでした。発電所(発電端)で発生している発電機を動かすために使われている電力は統計から除かれているはずですので(送電端ベース)、この誤差となっている総計2400億kwhに関する説明が意図的に省かれていたということになるでしょう。この損失は交流であるが故の特性に過ぎませんので、敢えて秘匿するべき事由にはあたりません。

 電力会社は真実を公表することによって、国民の理解を早く得るべきだったのです。監督官庁の姿勢にも問題がありました。効果のない温暖化防止対策のために、国家予算から膨大な助成金が毎年投入されています。国会が電力供給の限界を知らされないでいたことが、温暖化防止の実効が上がらなかったそもそもの原因だったのです。電力会社には事実を公表する基本的義務があるはずです。情報開示義務を回避してきたことが、国税を浪費させる結果になっていたのです。わたし達がいくら節電に励んでも、発電所が二酸化炭素を吐き出し続けていたのでは、温暖化を防止できる訳がありません。

 要約すると、総発電量の22%相当にあたる電力がエネルギーとして利用されていない、ということに尽きるのです。(未確認の損失は要素化されていません) ここが理解されていないため、効果のない対策が来る年も来る年も繰り返されてきたのでした。節電という行為は、変圧器のコイルに流れている電流に逆向きの圧力をかける事に他なりません。交流に重大な欠陥があるというのは、つまりこういうことだったのです。交流のままではどんなに節電努力を進めても、この誤差率は変わりなく存在し続けることになるでしょう。ところが、直流の分散電源が普及すると、このロスをそっくりそのまま消しさってしまうことができるようになるのです。



 電力会社で発電設備を100%活用すると設備稼働率は最大化し、常に安定した電力を供給している体制を維持することができます。そのためには一軒の住宅で消費する電力を取り敢えず月間最大供給量2160kwhの半分、1080kwh程度までの稼働率に引き上げおきたいところです。この数字は月間消費電力のサンプルとして引用した値540kwhの丁度二倍になっています。発電能力には余裕があるので消費する電力が増えれば増えるほど、電力会社の経営効率は向上することになるでしょう。現時点での年負荷率は56%台半ば付近にありますが、発電設備の容量は最大発電電力量の更に二割り増し付近にあることから、需要率(実効値)では40%台前半にまで下がってしまうことになるのです。

 つまりいきなり需要が倍増したとしても、現有の設備で十分に対応することができるということなのです。ピークを抑えながら中間の電力需要を向上させるのが、経営資産を有効利用する最善の方法だといえるでしょう。「年負荷率」とは当該年度の最大電力発電量と平均需要の実績値を対比させて得た数字です。発電した電気がどれだけ消費されていたのかを類推するための指標ですが、エネルギー転換が100%で行われたことを示す能力はありません。この数字にはロスとなっている成分が含まれています。従ってこれが実効値ではないことを承知しておかなければなりません。

 また、「不等率」という概念も導入されています。不等率とは、電源となるトランスを共有する電路における負荷の量的分布状態を表す指標です。年負荷率と需要率そして不等率などの各種の指標は、電力消費が増えさえすれば自動的に改善されることになっている数値です。負荷平準化が進めば需給落差は圧縮されるので、負荷率はそれだけですぐに改善します。負荷平準化が進まないのは、電力需要が時間帯によって大きく乖離したままでいるからです。つまり、深夜の需要を拡大することができさえすれば、負荷率と需要率とを同時に伸ばすことができるようになるのです。

 もう少し分かりやすく言うと、発電設備の平均四割強しか稼動していない発電所群が生んだ電気で、最大発電量の約五割強の平均需要に対応しているという姿がみえてくるのです。これらの数値が需要量の増加によって改善されると、不等率もまた向上することになるでしょう。それには発電量を減らすことによってではなく、消費量の方を急いで増やすことが最も効果的なのです。設備容量を減らせば夏の最大需要に対応できなくなりますし、供給量の方を増やせば使い切れない電力をより余らせてしまう結果になるでしょう。

 実際の需要量を増やさない限り、電力会社の経営は苦しくなるばかりです。現在でも既に使いきれない電力が、深夜から早朝にかけて大量に生まれています。揚水式水力発電がこの電力を一部消費していますが、翌日のピーク電力として使われたとしても、発電効率からみると劣ったものになっていると言わざるを得ません。発電コストと送電ロスを二重に抱え込むことになっているからです。このため水力発電の発電原価は、最も高いレベルである13、6円/khwにまで達しています。(内訳をみると計算に誤りのあることが分かります)

 揚水式水力発電が如何に効率の悪いものだったのかを、この発電単価の高さから判断することができるでしょう。合理性のなさが電力単価に反映されている訳ですから、日本の電力料金が高くなっているのは当然のなりゆきなのです。揚水式水力発電とは、つまり平均電力単価を引き上げているものでもあったのです。深夜電力という低廉な料金制度は、電力会社が抱えている根源的な諸問題を緩和しようとするために設けられたものでした。

 

 

 電源別の構成比率(2001年度)をみるとベース電源部門だけで、原子力が34.6%、水力9.5%、石炭火力20.5%、地熱0.4%となっており、合計すると約65%にまで達しています。残りの35%がミドル電源と呼ばれるLNG火力とピーク電源とされている石油火力、その他の水力発電とで占められています。自然エネルギーは、0.3%で将来も大きく拡大しないことが予想されています。経産省では原発の増強がプログラムされていたことがこの統計資料から見えるようになっています。

 要するに発電量全体の約65%の電力が、24時間常時定格運転されているという訳です。そして、その他の電源はというと、その総てが完全に休止していたということでもありません。発電機の一部が基底状態で運転を継続していることは、この日負荷曲線(赤色の線)からも窺い知ることができるでしょう。図は電力会社の製作になるものですが、日負荷曲線の上になっている部分が発電しても使われていない電力に該当します。(一部に発電ではない電力消費の成分【揚水式水力】が紛れ込んでいるという点に注意してください。石炭火力のシェアは20%を超えていますが、図では抑制気味に表示されていますし、揚水式水力にいたっては僅か1.3%のシェアでしかないものが、これだけ誇張されているという事実があるのです)

 これら発電して消費されない無駄な電力を減らすためのさまざまな試みのことを、負荷平準化対策といいます。




需要の無い時間帯でも、ベース電源以外の火力発電所の一部で更なる発電が行われています。LNG火力はその発電出力を定格の15%以下に落とすことができないとされています。無駄であっても熱を維持するための燃料を消費していなければならないという事情があります。




実際の発電実績の曲線、ピークに対して50%を切っています。


全体の約65%がベース電源からの電力なので、15%以上の電力が余っていることがわかります。上の合成値ボトムラインの二倍を既に超えていることを確認しておいてください。このため需要が減っても発電出力を落とすことができなくなっています。この電力をエネルギー転換しなければ、その分だけ無駄を生み出すということになってしまうのです。

その他の参考資料  東京電力の日負荷曲線(日付加曲線は電力会社によって特徴があり、それぞれに相違があります)


 電力消費が最も少なくなっている深夜でも、全体の65%以上の電力がベース電源から常時供給されています。消費の方はというと上記の日負荷曲線からも覗えるように、深夜では50%以下になっています。この「差」となっている15%程度の電力が毎夜数時間に亘って失われいるということなのです。何故なら、交流電流が貯められない種類の電気だったからです。交流送電ではこの外、送電に伴うロスが総合で8.7%でています。少なくとも23.7%(15+8.7)の電力が、深夜失われていると見なければなりません。(変電ロスは確認する資料が見当たりません → 一次側コイルのコアで鉄損が2%、二次側コイルの銅損が1%それぞれ発生していると見込まれています)

 揚水式水力発電(下記)に転用されている分(1.3%)やその他の成分を控除すると、総発電量と総販売量の差となっている約22%付近にまで収斂すると思われるため、数字として整合する可能性がでてきます。日中の発電でも予備となる電力を見込んで需要を上回って送電されています。過去五年間のデータに基づいて発電計画を実施しており、この誤差の範囲を圧縮するための配慮が電力会社の努力目標になっています。30分ごとに偏差を修正してはいますが、インターバルの間この無駄を許容せざるを得ない、というメッセージにもなっています。1999年度の調整努力の結果が、即ち22%の最終損失だったということになるでしょう。

 電力会社ではその対策として、深夜余っている電気を動力として水を汲み上げ、翌日のピーク需要に対応させています。この方式による発電を揚水式水力発電といいます。負荷平準化対策の一つという位置づけですが、電気を余らないように制御する方が遥かに理に適っています。一旦電気エネルギーとなったものを、翌日の需要に備えて位置エネルギーに再変換するという数字に表れないロスを含んでいるからです。エントロピーとはエネルギーが常に劣化するものであることを示すための概念です。エントロピーは常に増加(劣化)するという法則に従い、エネルギー秩序のベクトルとその分布状態を表しています。

 揚水式水力は電気を作るのに反復して発電を行っているのと同じことですから、結果としてエントロピーの増加を重ねていることになるのです。これではエネルギー効率が低下するのも当然のなりゆきです。原子力発電を一次エネルギーとみた場合、その効率が更に70%(揚水式水力の効率-但し名目値、実効値は確認されたものがありません)以下にまで下がってしまうことを意味しています。

 原子力の発電効率は33%程度とされていますから、その七掛けが揚水式水力での「見かけ上の発電効率」になるという訳です。これに当初の発電効率を加えて加重平均したものが揚水式水力の最終的な効率になるでしょう。敢えてかなり甘い見通しの数字を適用していますが、データが公開されていないのでこの値を暫定的に使わざるを得ません。ここでは、水力発電の単価が最も高くなっている事実を指摘するのみにとどめます。それでも電気を捨ててしまうよりはまだマシ、ということなのでありましょう。

電力会社のおかれている状況が、いくらかでも見えてきたでしょうか?

 京都議定書が発効しましたので(平成17年二月十六日午後二時)、国は温室効果ガスの排出量を定めのある分だけ、期限まで確実に削減しなければなりません。温室効果ガスの殆どは二酸化炭素だとされています。エネルギー全体に占める電力分野の比率はおよそ48%、その内二酸化炭素の排出に関与する火力発電は全体で60%にまで達しています。中でも二酸化炭素の多い石炭火力のシェアはベース電源となっていることから、全体の20%を既に超えています。ベース電源は基幹系統を形成しているため、この部分を削減することはできません。二酸化炭素の増加が一向に治まらないのは、石炭火力をベース電源化したことが大きく作用しています。

 二酸化炭素の排出量が最も少ないLNG火力発電を大量に増やせばある程度の改善を見込めますが、発電所の建設工事が期限の一年前までに総て竣工していないと効果を計上することができません。原子力は相変わらず信任が得られていないままの状態を続けており、これ以上増やすことは無論のことできません。今後は既設の原子力発電設備までが突然使えなくなる確率が年々高まりますので、温暖化防止対策が進むにつれて、電力供給量の確保を深刻化させてゆく可能性が高くなってゆくでしょう。二酸化炭素の削減努力に行き詰れば、原発の追加導入という選択肢しかなくなることは必定です。このような状況のさ中にあってオール電化を尚推進するということは、原発の追加導入に大義名分を与えることに他ならないのです。



 

 燃料電池と蓄電装置の市場投入は、これらの困難な問題を一挙に解決するチャンスになると思われます。たとえ小さな1kwh出力のものであったとしても、一日九時間稼動させれば毎月270kwhの電力を貯めておくことができます。この数字は春・秋の電力消費量の丁度半分に相当するので、電力会社の売り上げは燃料電池の普及に連れて急速に減ってゆくでしょう。(フル稼働させるなら720kwhの電力が毎月得られるのです(1kw*24h*30d)。蓄電装置を導入することの意義を理解して頂けるでしょうか?)

 電力会社がこの時点で発電出力の調整を行うことができるなら、供給量の方を減らして化石燃料の消費を抑制することができます。しかしながら燃料電池の導入がランダムに進むと配電管理と系統制御が複雑になり、ベース電源の下限が設定されているため活かしきれない電力が深夜、人知れず大量生産されるだけのことになってゆくのです。ベース電源が増えるということは、結果として深夜の需給落差を尚拡大させるという結果を招きます。

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